まえよりも日差しが柔らかくなった気がする

ヒバリが天高く、いちめんに黄色やピンクを振りまいて
ぼくは足元の若草に薄く影を落とす

遠く海は群青やエメラルドを織り交ぜ、
空をも飲み込んで眩しいくらいに笑っている

話し相手の風たちは
いつもよりオクターブ高くご機嫌だ

「今年も、きたようだね。」

ぼくも隣人も、この一瞬を噛み締めている

 水楢・三百二十六歳