# 海底

樹海通い

青木ヶ原樹海をはじめて訪れたのは、大学1年の時でした。

きっかけは単純。
「どんなところなのか自分の目で確かめたい」という思いから。

テレビで毎度取り上げられるマイナスなイメージに対して、
疑ってかかる気持ちがあったのかもしれません。

樹海の遊歩道をはじめて歩いた私は、
世間のイメージとは真逆の印象を抱きました。

それからというもの、
私は "樹海通い" をはじめ、写真を撮り歩くことになります。

この作品は、そんな私が
樹海通い3年目に見た景色です。

木々は侵入者の動きを伺うかのように、ひどく静まり返っている。

私の脚が落ち葉を踏む音だけが、ガサガサと聴こえていた。

海底から水面を見上げた。

その高さは、時間の長さ。

じっくりとカメラに焼きつける。

それは血管のようだった。

深海だからこそ、生命のたくましさに気づくのかもしれない。

富士の溶岩に覆われ、黒く硬い海の底。

その上に根を張り、幹を伸ばす。

静かに。そして力強く。

思い出のピンホール

最後までご覧いただきありがとうございました。

ピンホールレンズを初めて体験したのは、小学生時代でした。
教室の中にダンボールで秘密基地を作った時のことです。

基地の中は窓なんて無く、ただひたすらに真っ暗。
外にいる友達が誰なのか分からない状態でした。

そこで私は、「監視カメラ作るか!」と思いつき、
鉛筆で秘密基地の壁に小さな穴を開けました。

最初は”覗き穴”として使っていたのですが、
しばらくしてあることに気づきます。

(次ページへ続く…)

「監視カメラの反対側の壁に、外の景色が逆さまになって写ってる!」

このとき、大発見をしたと思いました。
本当の意味で”監視カメラ”として機能しています。

真っ暗な壁に大きく映し出された友達のシルエットを
今でも鮮明に覚えています。

大人になって写真を始め、ピンホールレンズのメカニズムを知った時、
大発見をしたつもりの私は少しショックでした。

そんなピンホールレンズを自作して撮影した、
青木ヶ原樹海の景色です。